日本臨床外科学会雑誌
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上行結腸軸捻転症の1例
高橋 崇真竹之内 靖木村 充志津金 恭司小川 敦司河野 弘
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2006 年 67 巻 1 号 p. 127-131

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抄録

症例は89歳,女性で,腹痛と腹部膨満感が出現した翌日に近医を受診し,腸閉塞の診断で当院へ紹介となった.腹部単純写真にて拡張した大腸ループの支点が右側に位置しており,ループの右側に小腸ガスが認められた.腹部CT検査にて著明な大腸ガス像を認め,下部大腸閉塞を疑い注腸検査を施行したがS状結腸までに閉塞を認めなかった.閉塞部位がさらに口側にある大腸イレウスと診断し,同日緊急開腹術を施行した.開腹すると上行結腸が後腹膜に全く固定されておらず,上行結腸が横行結腸を中心に反時計方向に180度捻転しており,上行結腸軸捻転症と診断した.捻転を解除後,上行結腸を後腹膜に固定し手術を終了した.退院後第4病日に癒着性腸閉塞で再入院となった際のイレウス管造影にて腸回転異常の存在も疑われた.
上行結腸軸捻転症は比較的稀であるが,腹部単純写真の所見により術前診断ができる可能性があると考えた.

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