抄録
症例は66歳,女性.左乳頭からの血性分泌を主訴に当科を受診した.明らかな腫瘤は触知しなかったが,超音波検査で乳輪直下に8×9mmの等エコー腫瘤を認め,マンモグラフィでカテゴリー4,細胞診では悪性であった.以上より乳癌(T1bN0M0, Stage I)の診断で乳房円状部分切除,乳頭切開による区域乳管切除,センチネルリンパ節生検を行った(転移陰性のため腋窩郭清は省略).病理診断はintraductal carcinoma, solid papillary carcinoma (SPC) with endocrine differentiation, ER (+), PgR (+), HER2 (-)であった. SPCはMaiufらが初めて提唱した,高齢者に多く予後が良好な高分化の乳管内増殖主体の癌である.内分泌および神経系への分化を示し,主に細胞内への粘液の貯留を認め,粘液癌に合併することが多いため,粘液癌との関連の可能性が示唆されている.