日本臨床外科学会雑誌
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腸間膜膿瘍を形成した回腸憩室穿通の1例
藤田 加奈子伊達 和俊楠田 慎一福島 正之
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2006 年 67 巻 2 号 p. 346-349

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抄録

症例は85歳の女性.右下腹部痛と38.5°Cの発熱を認め来院した.右下腹部全体に圧痛と筋性防御を認めたため,急性虫垂炎もしくは大腸憩室炎が疑われた.血液検査では白血球10,900/mm3, CRP22.1mg/dlと炎症反応を認めた.腹部単純X線検査で腹腔内遊離ガス像などの異常所見は認めず,腹部CT検査で回盲部腸間膜が著明に肥厚しており,内部に遊離ガス像を認めた.大腸憩室炎の腸問膜内穿破による腸間膜膿瘍の術前診断で,回盲部切除術を切除した.切除標本では,回盲弁から5cmおよび7cmの回腸に,腸間膜付着側に突出する憩室を認め,肛門側の憩室が腸間膜に穿破し腸間膜に膿瘍を形成していた.病理組織学的所見では,憩室部位は固有筋層が欠落する仮性憩室であった.

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