日本臨床外科学会雑誌
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超音波内視鏡下吸引細胞診が有効であった非機能性膵島細胞腫の1例
宮原 利行飯田 辰美水谷 憲威安村 幹央山田 卓也竹村 博文
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2006 年 67 巻 2 号 p. 429-433

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抄録

非機能性膵島腫瘍は比較的稀な疾患であり,ホルモン過剰分泌による症状を呈しないため,早期発見が困難な場合が多く,また術前診断が困難であることが多い.本腫瘍は切除により良好な予後を得られることから,早期発見かつ術前診断を得ることが重要である.今回,最大径1.5cmで発見し,超音波内視鏡下吸引細胞診で術前診断を得た非機能性膵島腫瘍を経験したので報告する.症例は68歳,女性.肝硬変に対する治療のため通院中,精査のため腹部MRI・CTを施行された時に,膵腫瘍を指摘され,精査加療目的で入院した.身体所見では大きな異常はなく,内分泌機能検査ではガストリンの軽度上昇とグルカゴンの軽度低下認めた.画像診断では,典型的な膵島腫瘍の像を呈し,超音波内視鏡下吸引細胞診にて病理組織学的診断を得ることができた.術前診断を得るために,安全でかつ簡便な超音波内視鏡下吸引細胞診は極めて有効な検査である.

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