15歳男子.発熱と腹痛のため近医を受診した際に腹部CT検査で左上腹部に9cm大の腫瘤を指摘された.血液検査上,白血球数とCRPの上昇を認め,感染性膵嚢胞を疑い手術を行ったところ病理組織学的にsolid-pseudopapillary tumor (SPT)と診断された. SPTは比較的稀な膵腫瘍であり,一般的に若年女性に好発するとされている.また近年β-cateninの細胞内への異常蓄積やβ-catenin遺伝子の異常が存在することが明らかになってきており本症例に対して免疫染色を行ったところβ-catenin, cyclin D1ともに陽性であった.術後経過は良好であり2年間の経過観察期間中に再発や転移は認めていない.