日本臨床外科学会雑誌
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腎盂癌転移と鑑別が困難であった脾過誤腫の1例
小倉 芳人大塚 綱志貴島 文雄愛甲 孝前之原 茂穂西島 浩雄
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キーワード: 脾腫瘍, 脾過誤腫, 腎盂癌
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2006 年 67 巻 2 号 p. 443-447

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抄録

今回,腎孟癌に合併し,転移性腫瘍と鑑別が困難なため脾摘出術を施行した脾過誤腫の1切除例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は60歳,男性.前立腺癌の経過観察中の2002年11月CTにて腎孟腫瘍・脾腫瘍を指摘された. CTにて脾臓下極に径約2cm大の腫瘍を認め,単純にて等吸収域を呈し,造影早期に造影効果は認められず,後期に軽度の造影効果が認められた. MRIでは脾腫瘍はT1強調像で低信号・T2強調像で等信号を呈していた.腎孟癌の転移も疑われたため脾摘出術を施行した.摘出標本にて脾臓に暗赤色調の被膜を有する24×21mmの腫瘍が認められ,病理組織学的検査では,赤脾髄を主体にした組織増生が認められ赤脾髄型の過誤腫と診断された.脾過誤腫は特異的な画像所見に乏しく,術前の診断は困難で,有症状や悪性疾患が疑われる症例には手術を施行し確定診断を得ることが重要であると考えられた.

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