日本臨床外科学会雑誌
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胃全摘術後膵液瘻に対するドレーン排液アミラーゼ値の測定意義
信岡 大輔後藤田 直人小西 大中郡 聡夫高橋 進一郎木下 平
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2006 年 67 巻 9 号 p. 2000-2005

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抄録

目的:胃全摘術後膵液瘻に対するドレーン排液アミラーゼ値(以下D-Amy値)の測定意義を検証する.対象および方法: 2003年~2005年に脾摘を伴う胃全摘術を行った128例に対し, D-Amy値と術後膵液瘻発生について検討した.膵液瘻の診断はドレーン排液の性状を基準として行った.結果: 128例中17例(13%)に術後膵液瘻が発生した.術後第1病日(以下1POD), 3もしくは4POD, 7PODのD-Amy値はいずれも膵液瘻群で有意に高値であった. 17例中10例(59%)は7PODまでにドレーン排液性状より膵液瘻の診断が可能であった.考察: 1POD, 3もしくは4PODのD-Amy値は術後膵液瘻発生の予測となりうるが,臨床的には術後管理に関与せず測定意義は低いと思われた.結論: D-Amy値は7PODにドレーン排液性状に異常が認められない症例のみ測定すれば安全かつ効率的な術後管理が可能と考えられた.

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