抄録
1978年1月より1990年8月までの間に自治医科大学における血液疾患患者に合併した黄色ブドウ球菌敗血症は31例であった。死亡率は全体で48.4% (15/31)であった。予後不良因子は高齢(p=0.015), 顆粒球数500/μl以上(p=0.015), DICの存在(p=0.011)および肺炎の合併(p=0.023)であった。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌敗血症はそのうち32.3% (10/31)を占め,1985年に第1例がみられた。統計的には有意ではないものの死亡率はメチシリン耐性群(70%)がメチシリン感受性群(38.1%)に比し高い傾向があった。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の薬剤感受性試験ではminocycline, chloramphenicolおよびvancomycinが良い感受性を示した。