臨床血液
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症例
不明熱と一過性意識障害を呈したいわゆるNeoplastic angioendotheliosisの1例
竹内 けい子西村 進古田 浩人里神 永一江川 公浩三家 登喜夫近藤 溪南條 輝志男宮村 敬森川 吉博斉藤 晃治
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1991 年 32 巻 2 号 p. 127-131

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抄録
65歳の男性が,発熱が続くため入院となった。赤沈は62 mm/hrと亢進し,CRPは5+と強陽性であった。LDHは1005IUと高値を示し,そのアイソザイムはII型とIII型が優位であった。腹部CTでは両側副腎の部位に大きな腫瘤を認め,骨髄穿刺検査で集落を形成する異常細胞が認められた。それらの所見より転移性の悪性腫瘍を疑ったが原発巣は明らかにできなかった。患者は経過中,一過性の意識消失発作を来たし消化管出血にて死亡した。
解剖が行われ,顕微鏡的検索で腫瘍細胞の全身血管内の蓄積と,いくつかの臓器では腫瘍細胞の血管外増殖が認められた。パラフィン包埋固定組織の免疫組織学的検索では,腫瘍細胞はLCA, LN-1, LN-2とL26のモノクローナル抗体で陽性を示したが血管内皮細胞のマーカーであるFactor VIII抗原は陰性であった。これらの検索より腫瘍細胞は胚中心B細胞由来であることが示された。以上の結果から,本症例はAngiotrophic lymphomaの1例と考えられた。
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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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