1991 年 32 巻 6 号 p. 686-689
われわれはIgA λ-type多発性骨髄腫にて唾液型アミラーゼ産生している症例を経験したので報告する。患者は70歳男性。貧血と腎機能障害により入院して,単クローン性IgAの高値を認めた。化学療法後に唾液型アミラーゼの上昇が始まり,骨髄細胞培養液上清中アミラーゼ活性の上昇を認めた。また骨髄細胞はMDR-1/P-糖蛋白陽性を示した。唾液型アミラーゼ産生が認められた多発性骨髄腫はきわめてまれであり,MDR/P-糖蛋白が見られた症例はほかにない。薬剤耐性との関連も示唆される。