日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
イワシ揚げかまぼこのアミノ酸組成のガンマ線照射および貯蔵による変化
奥 忠武
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1983 年 30 巻 12 号 p. 681-687

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抄録

タンパクや脂質含量が高いといわれるマイワシを主原料とした揚げかまぼこを調製し, 3kGy照射および貯蔵を行い,アミノ酸や総菌数などの変化を調べ,前報のスケトウダラ主原料の場合と比較した。結果は以下の通りである。
(1)アミノ酸含量はいずれも前報のスケトウダラ主原料の場合より高く, 18種アミノ酸の含量は照射および非照射試料間で大差がみられなかった。
(2)照射によりメチオニンの酸化物であるメチオニンスルホキシドおよびスルホンの生成が認められた。
(3)30℃で21日間の貯蔵を行つた場合,照射および非照射試料の全アミノ酸含量の減少は,それぞれ5.8%および4.8%と高く,総菌数やエキス中のアミノ酸含量の増加も早く,短期間で腐敗が起っていることが明らかであった。
(4)10℃貯蔵の場合,非照射試料の全アミノ酸含量の変化は21日間を通じ大きくないが,総菌数とエキス,中のアミノ酸含量の増加は大であった。照射揚げかまぼこは56日間の貯蔵中, 18種アミノ酸の組成,エキス中のアミノ酸含量および総菌数の変化は極く僅かであり,その変化の度合は前報のスケトウダラ主原料の場合と同程度であることが判明した。

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