臨床血液
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臨床研究
慢性型リンパ性白血病10例の臨床的検討
福田 隆浩牧野 茂義田村 和夫鈴宮 淳司木村 暢宏大島 孝一菊地 昌弘佐川 公矯
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1992 年 33 巻 8 号 p. 1017-1024

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抄録

過去5年間に当院へ入院した成人T細胞白血病を除く慢性型リンパ性白血病10例を,1989年FAB分類と対比してその臨床像,細胞形態,表面形質について検討した。内訳はT-chronic lymphocytic leukemia (CLL) 3例,T-prolymphocytic leukemia (PLL) 2例,B-CLL 2例,B-PLL 1例,nonT nonB-CLL 1例,Waldenström's macroglobulinemia 1例であった。慢性型リンパ性白血病は一般に慢性の経過をとるB細胞性が多いといわれているが,当院においてはT細胞性が10例中5例と多かった。T-CLLでは細胞の大小不同や核の切れ込みなど形態的に多様性が強く,核小体や胞体内のアズール顆粒は認めなかった。PLLでは顕著な核小体と豊富な胞体をもつ大型の細胞が増加していた。治療はサイクロフォスファミドとプレドニゾロンを中心に行ったが,特にT細胞性では治療抵抗性であり生存中央値は1カ月であった。今後T細胞性の分類,治療法については検討が必要である。

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© 1992 一般社団法人 日本血液学会
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