臨床血液
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症例
多発性肝・脾膿瘍に対して,門脈内留置カテーテルからのamphotericin-B持続注入が有効であった急性前骨髄球性白血病の1例
宮崎 仁井野 晶夫祖父江 良都築 基弘前田 拓司野村 俊之脇田 待子平野 正美
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1992 年 33 巻 8 号 p. 1052-1056

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抄録

症例は40歳女性で,1989年8月に当院で急性前骨髄球性白血病と診断され,modified-DCMP療法にて完全寛解となったが,治療終了後より抗生物質に抵抗性の高熱が持続し,CTにて肝,脾に多発性小膿瘍像が認められた。真菌性膿瘍を疑い,amphotericin B (AMPH-B), fluconazole点滴静注を長期間投与したが無効であったため,経皮経肝的に門脈内カテーテル留置を施行し,AMPH-B持続注入(維持量20 mg/日)を行ったところ,1週間後には37°C以上の発熱はなくなった。カテーテルは29日後に抜去したが,症状の再燃はなく,CT上肝膿瘍像も著明に縮小した。副作用としてはステロイド剤の前投薬を要する悪寒戦慄と低カリウム血症が認められた。カテーテル抜去時の造影で挿入部に一致した門脈血栓が認められた。真菌によると思われる難治性肝膿瘍に対する治療法として,門脈内留置カテーテルによるAMPH-B投与は有効であるが,今後,それに伴う副作用,合併症に対しても考慮する必要があると思われる。

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© 1992 一般社団法人 日本血液学会
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