臨床血液
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症例
サルコイドーシスに合併した非ホジキンリンパ腫(Sarcoidosis-Lymphoma Syndrome)の1例
坂野 章吾高田 勝利脇田 充史岩木 理仁田 正和御供 泰治山本 正彦
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1992 年 33 巻 8 号 p. 1066-1070

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抄録

症例は31歳,男性。1991年3月,右頸部,鎖骨上窩リンパ節腫脹のため入院した。8歳のとき筋サルコイドーシスと診断され副腎皮質ステロイド剤をうけている。18歳頃より皮膚はサルコイドーシスのため紅斑,潰瘍を伴い次第に皮膚萎縮となった。リンパ節生検の結果,大細胞型の非ホジキンリンパ腫と診断された。リンパ節細胞はサザンブロット法によりTCR-β鎖に遺伝子再構成を認めた。CHOP, CHOP-Bleo療法に抵抗性であったがシスプラチン,エトポシド療法により寛解となった。しなしながら,再発し肺出血のため約4カ月後に死亡された。いわゆるサルコイドーシス,リンパ腫症候群は本邦では少ない。報告例の10例中9例がサルコイドーシスの経過中に悪性リンパ腫を合併していた。サルコイドーシスは,ほとんどが慢性活動性でステロイド剤の全身投与を必要としていた。合併するリンパ腫は外国例で多いホジキン病は本邦ではなかった。サルコイドーシス,リンパ腫症候群が本邦で少ないのはホジキン病が比較的まれであるのと関係があると考えられた。また,サルコイドーシスにリンパ腫が合併する原因としてサルコイドーシスにおける免疫異常が関連していると考えられる。

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© 1992 一般社団法人 日本血液学会
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