臨床血液
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症例
赤白血病様病態から巨核芽球性白血病への進展過程を観察しえた骨髄異形成症候群の1剖検例
高井 和江真田 雅好渋谷 宏行
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1992 年 33 巻 8 号 p. 1071-1076

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抄録

症例は63歳男性で貧血と血小板減少にて入院。骨髄は過形成で異常赤芽球を66.6%, 芽球を19.8%認め,染色体分析では5q-, -7, -17を共通とする多彩なMAKA (major karyotypic aberrations)型異常を示し,赤白血病(FAB M6)と診断した。6カ月後,末血に幼若顆粒球が増加し,骨髄では芽球25.8%, 前骨髄球20.0%と顆粒球系主体のRAEB-T類似の病態を示した。さらに3カ月後,末血の芽球が33%と増加し,表面抗原ではCD41b (GPIIb/IIIa) 69%, CD42a (GPIb) 63%陽性,電顕的血小板ペルオキシターゼ陽性芽球が主体となった。骨髄はdry tapで,細網線維の増生を伴う芽球と異型巨核球の増殖を認め,巨核芽球性白血病(FAB M7)への進展と診断した。FABにおけるM6の多くは赤芽球過形成を特徴とした,stem cellの異常によるmultilineageの疾患であり,骨髄異形成症候群から急性白血病への進展過程の1つととらえうるものと思われる。

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© 1992 一般社団法人 日本血液学会
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