臨床血液
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症例
著明な好酸球増多症を呈した非Hodgkin T細胞リンパ腫の1例
富山 順治工藤 秀機鈴木 不二彦青木 幹雄足立 山夫榎原 英夫
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1993 年 34 巻 9 号 p. 1011-1015

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抄録

胸水貯留と,著明な好酸球増多症を呈した57歳,男性,非Hodgkin T細胞リンパ腫(びまん性大細胞型)の1例を報告する。白血球数12,500/μlで,うち好酸球数は53%で絶対数は6,600/μlであった。患者血清と,リンパ腫細胞を多く含んだ患者胸水,患者末梢血T細胞培養上清,特にinterleukin-2 (IL-2)添加T細胞培養上清には高いEo-CSF活性が認められた。また,患者血清中のIL-5と,T細胞培養上清,特にIL-2添加培養上清中のGM-CSFは高値であった。以上の結果から,リンパ腫T細胞,あるいは腫瘍抗原によって刺激された正常T細胞から産生されたEo-CSFが,本症例の好酸球増多症の誘因であること,およびEo-CSF活性にはIL-5とGM-CSFの2種類のサイトカインが関与していたことが推察された。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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