臨床血液
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症例
エリスロポエチン投与により貧血が改善した発作性夜間血色素尿症
池田 洋子吉永 健太郎壹岐 聖子大林 由明浦部 晶夫
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1993 年 34 巻 9 号 p. 1022-1026

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抄録

32歳男性。1980年(20歳時),起床時の褐色尿が出現し,某院にて発作性夜間血色素尿症(PNH)と診断され,輸血を施行された。1983年,2カ月間内服治療を受けたが自覚所見に著変なく,本人が通院を中断した。1992年5月,朝の倦怠感が増強し,当院を受診。溶血性貧血とヘモジデリン尿が認められ,Sugar water testおよびHam test陽性,DAF陽性率38.8%(正常100%),CD59陽性率45.4%(正常100%)で,PNHの診断を確認した。骨髄はやや低形成で赤芽球系が優勢であった(M/E比:0.68)。鉄剤,オキシメトロンの投与で貧血の改善が認められず,リコンビナン・ヒト・エリスロポエチン3,000単位の連日皮下投与を施行した。Hbは7.5 g/dlから12.0 g/dlに上昇し,患者の自覚症状は著明に改善した。現在は,合併するC型慢性肝炎に対しα型インターフェロンの投与を併用し,Hbは10∼11 g/dlを維持している。溶血による赤芽球系の生成亢進状態においてもエリスロポエチン投与の効果が認められ,興味深い症例と考えられた。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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