臨床血液
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症例
染色体異常20q-を伴う本態性血小板血症が先行した鉄芽球性貧血
山田 一成中牧 剛横山 明弘日野 研一郎友安 茂桜井 雅温鶴岡 延熹
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1993 年 34 巻 9 号 p. 1027-1032

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抄録

症例は78歳男性。高度の血小板増加(126.4×104l), 好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコアー低値,核型46, XY, del(20)(q11q13)を認めた。明らかな貧血はなく,骨髄で環状鉄芽球を認めなかった。本態性血小板血症と診断し,ラニムスチン(MCNU)を使用した。約2年後,赤血球の大小不同,奇形,末梢血での赤芽球出現を伴う大球性貧血を認めたため入院した。骨髄は赤芽球優位の過形成を呈し,環状鉄芽球の著増(赤芽球の85%)を認めた。核型は初診時と同じ異常を示し,NAPスコアー低値も初診時と同様であった。中等度の血小板増加(71.7×104l)を認めた。c-src遺伝子の増幅および再構成は認められなかった。核型異常20q-を共通として,本態性血小板血症が鉄芽球性貧血に先行した本例の存在は,20q-を有する種々の造血器疾患,特に慢性骨髄増殖性疾患と骨髄異形成症候群の病型移行や境界的病態を理解する上で重要である。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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