臨床血液
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症例
原発性骨髄線維症の小児例
畑江 芳郎大越 優美上野 倫彦中舘 尚也飯塚 進武田 武夫
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1993 年 34 巻 9 号 p. 1039-1043

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抄録

原発性骨髄線維症は慢性骨髄増殖性症候群の1型と考えられる。骨髄の線維化,赤白血病様の血液所見,涙滴赤血球,髄外造血を特徴とする疾患で,多くの例は50歳台以降の発症であり,小児の本症はまれである。本例は1991年8月7日生まれの女児で,妊娠歴,分娩歴には異常はみられなかった。誕生時から肝腫,多血症や白血球増多がみられた。子宮内感染に基づく髄外造血と考えられ,函館中央病院にて経過観察されていたが,状態は変わらず,精査のため生後7カ月時に当科入院となった。入院時の末梢血標本で涙滴赤血球,赤芽球や幼弱骨髄系細胞などの出現がみられた。骨髄穿刺は繰り返し試みられたが,吸引不能で,骨髄生検がなされ,骨髄線維症が確定した。患児は現在に至るまで一般状態は良好で無治療で経過をみている。本邦の原発性骨髄線維症の小児例をまとめ,本例との比較および小児例と成人例との比較を試みた。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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