臨床血液
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症例
IgG (κ)型多発性骨髄腫を合併した慢性関節リウマチの1例
伊東 俊夫大前 義文
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1994 年 35 巻 6 号 p. 547-551

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抄録

症例は65歳,女性。昭和40年ころより慢性関節リウマチ(RA)の診断で治療を受けていた。平成3年1月急性肺炎で本院内科に入院した際に初めてM蛋白血症(IgG 3,220 mg/dl, IgA 139 mg/dl, IgM 216 mg/dl)を指摘された。血清IL-6は4.0 pg/ml以下であった。骨髄の形質細胞は14.6%で,骨病変を欠くため経過観察していたところ,平成4年3月骨病変が出現したため入院となった。関節炎症状は認めないが血清γ-グロブリン分画に著明なMピークを認め,IgG 5,148 mg/dl, IgA 114 mg/dl, IgM 106 mg/dlであった。CRPは陰性。RA, RAHAテスト,抗核抗体は共に陽性。血清IL-6 14.8 pg/mlと増加していた。骨髄に形質細胞を30.6%認め,免疫電気泳動でIgG (κ)のM bowを認めたが,尿中Bence-Jones蛋白は陰性であった。X-Pで関節の破壊,骨吸収,punched out lesionなどを認めた。以上より,RA発症約25年後に多発性骨髄腫を合併したものと診断した。

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© 1994 一般社団法人 日本血液学会
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