臨床血液
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症例
風疹ウイルスによると思われるvirus-associated hemophagocytic syndromeの成人例
丸澤 宏之濱本 健次郎
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1994 年 35 巻 6 号 p. 576-580

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抄録

症例は57歳の女性。発熱と発疹を主訴に来院し,白血球数1,600/μl, 血小板数1.7×104lを指摘され入院となる。フェリチン520 ng/ml, 血清リゾチーム11.4 μg/mlと高値を示し,骨髄は有核細胞数2.4×104lで血球貪食を伴う組織球系細胞を4%認めた。ウイルス抗体価ペア血清で風疹ウイルス抗体価の有意な上昇(×64→×256)を認めたため,風疹ウイルスによるVirus Associated Hemophagocytic Syndromeと診断した。ステロイド大量療法とγ-グロブリンの併用投与により,臨床症状の著明な改善と血球減少の速やかな回復が認められた。VAHSは,成人発症例では小児に比して明らかに予後不良であり,早期から積極的な治療が必要と考えられ,ステロイド短期間大量とγ-グロブリン併用投与は試みるべき価値のある有用な投与法であると考えられた。

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© 1994 一般社団法人 日本血液学会
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