臨床血液
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臨床研究
第VIII因子遺伝子逆位解析の重症血友病Aにおける保因者診断,出生前診断への応用
岡本 能弘小嶋 哲人勝見 章山崎 鶴夫濱口 元洋西田 幹夫鈴森 薫齋藤 英彦
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1995 年 36 巻 11 号 p. 1252-1256

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抄録

血友病は伴性劣性の遺伝形式をとる先天性の出血性疾患であり,X染色体長腕部に存在する第VIII因子遺伝子の異常によって引き起こされる。最近,遺伝子異常の不明であった血友病Aの重症例において,X染色体長腕中の第VIII因子遺伝子の一部を含んだ領域で約500 kbにおよび逆位がおこっていることが報告された。今回,われわれがnon-RIサザンブロッテイング法を用いた第VIII因子遺伝子の逆位解析を行った結果,日本人重症血友病A患者33名のうち12名(36.4%)に逆位を検出した。また,従来報告されている制限酵素断片長多型(RFLP)による保因者診断が不能であった血友病A家系において,この第VIII因子遺伝子逆位解析により保因者診断および出生前診断を行うことができた。これまで血友病Aの遺伝子診断には,RFLPを用いた間接法が多く用いられてきたが,これに加え今回の検討で第VIII因子の逆位解析が重症血友病Aの遺伝子診断に臨床上,非常に有用であることが示された。

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© 1995 一般社団法人 日本血液学会
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