臨床血液
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症例
同種骨髄移植後に多発性結節影を呈した水痘肺炎と診断した慢性骨髄性白血病
矢野 邦夫中野 祐往小林 政英富田 和宏笠松 紀雄橋爪 一光
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1995 年 36 巻 11 号 p. 1274-1278

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抄録

30歳の女性。慢性骨髄性白血病慢性期に同種骨髄移植を施行した。移植後104日に微熱,咳嗽が出現し,全身倦怠感強くなり10日後に入院となった。入院時,胸部X線写真にて,びまん性陰影が見られたためcytomegalovirus (CMV)による間質性肺炎を疑いganciclovir (DHPG) (5 mg/kg×2/day)を投与したところ,DHPG投与3日目に解熱し,全身倦怠感,咳嗽は消失した。この時,体幹部に水疱が極めて少数ながら認められており,また,水痘感染者との接触が確認されたため,水痘肺炎の疑いを強くし,胸部CTを施行した。肺野にびまん性の肺野濃度上昇と斑状の結節影が認められた。臨床経過,胸部CT像より水痘肺炎を強く疑い,DHPGを中止し(投与7日目),acyclovir内服投与を開始した。経過は順調にて退院となった。今回われわれは当初,CMVによる間質性肺炎を疑いDHPGを投与し,後に水痘肺炎を疑った症例において,DHPGの有効性を経験したので報告する。

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© 1995 一般社団法人 日本血液学会
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