1995 年 36 巻 11 号 p. 1279-1283
慢性骨髄性白血病慢性期の33歳男性にHLA一致,MLC陰性の兄より同種骨髄移植を行った。患者はO型,兄はA型でmajor ABO不適合であった。移植早期に肝中心静脈閉塞症を合併したが,急性および慢性GVHDは生じなかった。好中球は移植後15日目に500/μl以上,血小板は22日目に20,000/μl以上にそれぞれ増加した。一方網状赤血球,赤血球は280日後においても増加しなかった。Ph1は陰性化したが,抗A凝集素は存続した。骨髄中の赤芽球の増加を認めず,赤芽球癆(PRCA)と診断した。プレドニゾロン内服,シクロスポリンの投与中止,エリスロポエチン皮下注などは,無効であった。284日目よりメチルプレドニゾロンパルス療法を開始し,292日目より網状赤血球の急激な増加を認め,PRCAは改善した。