臨床血液
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症例
T細胞性リンパ腫を合併し,末期に白血病に移行した骨髄線維症の1例
中瀬 一則長谷川 正規鈴木 宣則玉木 茂久谷川 元昭池田 健辻 幸太宮西 永樹
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1995 年 36 巻 11 号 p. 1284-1288

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抄録

症例は37歳男性。1986年1月に汎血球減少を認め入院。赤血球のanisocytosisとleukoerythroblastosisがみられ,骨髄穿刺はdry tapで生検で著明なfibrosisを認めた。入院3カ月後に全身の表在リンパ節腫大と体幹部に多数の皮膚腫瘤が出現。リンパ節生検によりlymphoblastic lymphomaと診断され,皮膚生検でも異型細胞の浸潤であった。リンパ節腫瘍細胞の表面形質は未熟T細胞型でT細胞抗原受容体β鎖,γ鎖遺伝子は胚細胞型であった。1986年6月に悪性リンパ腫として多剤併用化学療法を施行したが,その1カ月後に白血化し,肺炎で死亡した。末梢血は急性骨髄性白血病M2の病像であった。剖検で肝脾に髄外造血巣を認めた。本症例は原発性骨髄線維症で末期に白血化に至る経過中にT細胞性リンパ腫を合併した稀な症例である。

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© 1995 一般社団法人 日本血液学会
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