1995 年 36 巻 11 号 p. 1289-1294
低形成性白血病に近似し,初診時よりおよそ22カ月間,ウベニメクス単独投与下で血液像の憎悪をほとんど示さないまま経過している71歳の急性骨髄性白血病(AML)症例を経験した。本例は初診時の骨髄細胞染色体分析で8トリソミーと正常核型のモザイクを示したが,初診よりおよそ19カ月後の染色体分析では8トリソミーは消失し,所属の不明な染色体の10番染色体長腕への挿入が分析細胞のすべてに認められた。この患者はこれまでの経過中,赤血球および血小板輸注を全く行うことなく良好に経過している。