臨床血液
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症例
赤芽球性急性転化時に付加染色体異常(6;9転座)を呈した慢性骨髄性白血病
淡谷 典弘高尾 昌樹夏田 洋幹山脇 健盛鈴木 則宏高山 信之石田 明川合 陽子
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1995 年 36 巻 11 号 p. 1300-1304

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抄録

症例は57歳の女性。平成3年12月に慢性骨髄性白血病(CML)の移行期と診断され,第1回目入院。VP療法,BHAC-DMP療法,interferon, 6-MP, MCNU投与など施行後慢性期となり,外来でbusulfanの投与を受けていた。平成5年5月,急性転化のため第2回目入院。骨髄検査では59.2%とPAS陽性を含む赤芽球の増加が認められ,peroxidase陽性芽球は14.6%であった。Southern blot法によるmajor BCR遺伝子再構成は陽性であり,G-band法による染色体検査ではPh染色体に加え,t(6;9)(p23;q34)を認めた。この染色体異常は急性非リンパ性白血病(ANLL)に認められることが知られているが,Ph染色体陽性CMLの急性転化時に付加染色体異常としての報告はない。また赤芽球性急性転化の頻度はCML急性転化の10%と低い。本症例は赤芽球性急性転化時に付加染色体異常としてt(6;9)を伴った極めて貴重な症例と考えられた。

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© 1995 一般社団法人 日本血液学会
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