臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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症例
Allopurinolにより汎血球減少を来した骨髄増殖性疾患
品川 篤司伊藤 孝美米野 琢哉小松 恒彦長谷川 雄一小林 敏貴小島 寛二宮 治彦長澤 俊郎阿部 帥
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ジャーナル 認証あり

1997 年 38 巻 1 号 p. 64-71

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抄録
症例は61歳男性。慢性糸球体腎炎の既往あり。1993年3月より,高尿酸血症に対しallopurinol (AL)を内服していた。同年5月,血小板増多のため本院第1回入院。WBC 10,100/μl(未熟好中球+, 赤芽球+),Hb 12.7 g/dl, Plt 971×103l, 末梢血染色体正常。骨髄では著明な線維化を認め,骨髄線維症が疑われた。2カ月後,汎血球減少のため第2回入院。WBC 1,300/μl, Hb 6.2 g/dl, Plt 10×103l, 骨髄は著明な低形成であった。ALによる汎血球減少と考え同剤を中止後,granulocyte-colony stimulating factor (G-CSF), erythropoietin (EPO), oxymetholoneの投与にて,約1カ月半後,3血球系の回復を認めた。回復後の骨髄細胞を汎血球減少時の血清とoxipurinol (OL)の存在下で培養すると,CFU-G, E, Megの著明な抑制が認められた。ALによる汎血球減少は稀で,致死的な報告もみられる。本例はサイトカイン併用療法で比較的短期間に造血の改善をみた。
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© 1997 一般社団法人 日本血液学会
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