抄録
All-trans retinoic acid (ATRA)は多くの急性前骨髄性白血病患者を完全寛解に導く。ATRAの副作用は軽度とされ,頭痛,皮膚乾燥,皮膚炎,胃腸障害,高トリグリセリド血症などがしられる。ATRAと抗癌剤併用療法で治療した3症例の急性前骨髄性白血病患者に陰嚢部剥離性皮膚潰瘍を認めた。平均年齢は33歳(25歳から37歳)であった。3症例ともATRA投与後9日から17日で陰嚢部にびらんと多発性の小潰瘍が出現した。陰嚢部潰瘍は再燃を繰り返しながら徐々に消退し約8週の経過で治癒した。陰嚢部以外に皮膚病変はみられなかった。この間ATRAは45 mg/m2で連日投与され,3症例とも完全寛解となった。われわれは陰嚢部剥離性皮膚潰瘍をATRAの副作用と考えた。陰嚢部病変の報告はまれだが,ATRA療法を受けている症例の中に潜在している可能性がある。