抄録
症例は56歳,男性。平成7年9月当科入院。初診時,t(15;17)染色体異常とRT-PCR法でPML-RARαを認め,急性前骨髄球性白血病(APL)と診断。ATRAおよび化学療法によりCRに至り,PML-RARαも陰性化。その後地固め療法3コース,維持療法1コース施行。平成8年4月より四肢,胸部に丘疹出現し,当科入院。皮膚生検にてleukemia cutisと診断。同検体でPML-RARαも陽性。同時期の骨髄は光顕上寛解と考えられたが,PML-RARαは陽性であった。入院後ATRAを単独投与したが,丘疹は改善せず。その後Ara-C, acularubicin少量併用療法により丘疹は消退,骨髄PML-RARαも陰性化,2nd CRに至る。その後も化学療法を施行し,現在まで寛解状態を維持している。APLの髄外性再発とATRAとの因果関係は不明であるが,治療としては化学療法が有効であると思われた。