抄録
症例は69歳,男性。腰痛を主訴に整形外科へ入院となるも,MRI施行中に心不全症状が出現したため,内科へ転科となった。胸部単純X-Pにて著明な心拡大および両側胸水を認め,UCG, 胸部CTにて心嚢水,さらに広範囲にわたる心臓腫瘤を認めた。心嚢,胸腔穿刺による細胞診により,非Hodgkinリンパ腫と診断されたが,ほかの画像的検索にてリンパ腫の病変を認めず,心臓原発の悪性リンパ腫がもっとも考えられた。vincristine, cyclophosphamide, prednisoloneによるVCP療法を施行したところ,腫瘤の著明な縮小を認めたが,5カ月後より再増悪,呼吸不全と高Ca血症を伴い入院後7カ月で死亡した。心臓原発の悪性リンパ腫は非常に稀とされており,今後,その発症のメカニズムの解明,および診断法・治療法の確立が必要と考えられた。