臨床血液
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39 巻, 4 号
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第39回総会
教育講演1
シンポジウム6
REAL分類の臨床的評価
臨床研究
  • 菊地 陽, 小林 茂俊, 花田 良二, 森脇 浩一, 山本 圭子, 藤本 純一郎, 金子 安比古, 山森 俊治, 三輪 啓志, 北 堅吉, ...
    1998 年 39 巻 4 号 p. 259-266
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    TAL1遺伝子の部位特異的欠失について,小児および成人のT細胞性腫瘍99例の臨床検体を用いて,サザンブロッティングとPCR法により検討した。この欠失は小児T細胞型急性リンパ性白血病(T-ALL) 44例中10例で認められたが,小児T細胞型非Hodgkinリンパ腫20例および成人T細胞性腫瘍35例では認められず,小児T-ALLに特異的な遺伝子変化と考えられた。これらの10例は,表面マーカーではCD1-, CD2+, CD4-, CD7+, CD10-の共通点を持ち,この欠失をもたないT-ALLに比べ,有意に良好な予後を示した。また,この欠失を利用して2症例においてPCR法による微小残存腫瘍(MRD)の検出を行った。1例では寛解期にも持続的にMRDが検出されたが,他の1例では白血病クローンは初診時にのみ検出された。この欠失を有する症例が小児のT-ALLのなかで,一つのsubgroupとなるのかどうかは今後の検討課題である。
  • 土橋 史明, 薄井 紀子, 小林 直, 山崎 博之, 浅井 治, 矢野 真吾, 加藤 明徳, 渡辺 浩, 長峰 守, 香取 美津治, 田嶼 ...
    1998 年 39 巻 4 号 p. 267-272
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    再発・治療抵抗性となったリンパ系腫瘍に対して,doxorubicin (DOX), vincristine (VCR), etoposide (ETP)の持続点滴を含んだEPOCH療法を施行した。治療方法は,DOX 10 mg/m2, VCR 0.4 mg/m2をそれぞれ5日間持続点滴投与,ETP 50 mg/m2を4日間持続点滴投与,cyclophosphamide 750 mg/m2を6日目に点滴投与,prednisolone 60 mg/m2を7日間経口投与とした。治療成績は,完全寛解2例(non-Hodgkin's lymphoma: NHL症例1例,acute lymphocytic leukemia症例1例),部分寛解3例(NHL症例2例,adult T-cell leukemia lymphoma症例1例)であった。血液学的毒性およびその他の副作用はいずれも臨床的に管理可能であった。今後,治療成績の向上には,既存の薬剤の投与量および投与方法も十分に検討されるべきと考えられた。
  • 田中 健, 白石 香, 坂本 昭彦, 城島 浩人, 益地 久美子, 大窪 恭光, 田中 雅久, 藤松 由起子, 深堀 茂樹, 長部 誠志, ...
    1998 年 39 巻 4 号 p. 273-280
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    造血器腫瘍の骨病変と高Ca血症におけるPICP, ICTP, C-PTHrPの臨床的意義について検討した。血中ICTP値は骨病変,高Ca血症においてMM, NHL, ATLのいずれにおいても高値を示した。その中でもATLはMM, NHLと比べ有意差を認めた。血中C-PTHrP値は高Ca血症の有無で差を認めたが,特にATLはMM, NHLと比べて有意の著しい高値を示した。しかしながら,ATLにおいて骨病変の有無で差は認めなかった。ICTPとC-PTHrPとの間でMM, NHLでは相関が認められず,ATLにおいて相関傾向が認められた。MMにおいてICTPはβ2-MG, 生存期間と関連性が認められた。以上より,ICTPは特にMMの骨病変の骨吸収マーカーとして有用性が高いと考えられた。ATLの高Ca血症の原因はHHMと考えられMM, NHLとの骨代謝の相違が示唆された。造血器腫瘍における骨病変と高Ca血症の診断と病態把握のための簡便なマーカーとしてICTPとC-PTHrPは有用であると考えられた。
  • —小児癌白血病研究グループ(CCLSG) NHL885/890研究の長期治療成績と二次癌の発症率—
    鶴沢 正仁, 山本 嘉史, 片野 直之, 廣田 貴久, 宮脇 利男, 柳瀬 卓也, 小泉 晶一, 内海 治郎, 浅見 恵子, 田中 篤, 麦 ...
    1998 年 39 巻 4 号 p. 281-289
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    小児非Hodgkinリンパ腫に対するCCLSGのNHL855研究(1985∼1989年)およびNHL890研究(1989∼1996年)の長期治療成績と二次癌の発症率を報告した。855研究では,CPM/ADR/VCR/PRD/HD-MTXによる寛解導入療法と多剤維持療法を使用し,7年EFSは,限局例78 (SE=10)%, 進行例38(7)%であった。890研究では,寛解導入後に,病理組織型により患者を2つの治療グループ(リンパ芽球型LBと非リンパ芽球型NLB)にわけて異なる強化療法を実施した。7年EFSは限局例91(6)%, 進行例61(6)%に向上した。原発部位別では855研究で縦隔原発腫瘍の予後が特に不良であったが,890研究では腫瘍原発部位による差が消失した。病理組織別ではlarge cellの7年EFSが84(10)%ともっとも良好で,次いでBurkitt/Ki-1, lymphoblasticの順であった。890研究で試みられた造血幹細胞移植は治療成績の改善に寄与しなかった。両研究を通して2例に二次癌が発症した。2例ともAMLで,1例にMLL遺伝子再構成が認められた。
症例
  • 蔵本 憲, 小田 健司, 勝谷 慎也, 藤井 輝久, 阿部 和弘, 今村 展隆, 木村 昭郎
    1998 年 39 巻 4 号 p. 290-296
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    47歳,男性。平成5年脾腫を自覚。摘脾により非Hodgkinリンパ腫(Follicular mixed, B cell type: Stage ISA)と診断された。平成7年5月より貧血が進行し,平成7年7月当科入院となった。入院時検査にて悪性リンパ腫(ML)再発によるリンパ腫細胞の骨髄浸潤と赤芽球癆(PRCA)の合併を認めた。入院後,化学療法によりMLは改善したが,PRCAはMLの寛解後も軽快傾向を示さなかった。ML非寛解時のB型肝炎増悪後にPRCAの一過性の軽快を認め,またML寛解時の帯状疱疹に伴う肝障害後にはPRCAの持続的な軽快を認めた。本症例におけるPRCAの成因として,患者血清添加コロニーアッセイの結果より自己のCFU-Eに対する液性抑制因子の関与が考えられた。また,本症例の如く肝炎後にPRCAが軽快することは稀であり機序は不明であるが,免疫状態の変化が推察された。
  • 山口 祐子, 土橋 史明, 薄井 紀子, 小林 直, 中村 督, 高崎 信子, 加藤 明徳, 渡辺 浩, 斉藤 健, 田嶼 尚子, 倉石 安 ...
    1998 年 39 巻 4 号 p. 297-301
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は69歳,男性。腰痛を主訴に整形外科へ入院となるも,MRI施行中に心不全症状が出現したため,内科へ転科となった。胸部単純X-Pにて著明な心拡大および両側胸水を認め,UCG, 胸部CTにて心嚢水,さらに広範囲にわたる心臓腫瘤を認めた。心嚢,胸腔穿刺による細胞診により,非Hodgkinリンパ腫と診断されたが,ほかの画像的検索にてリンパ腫の病変を認めず,心臓原発の悪性リンパ腫がもっとも考えられた。vincristine, cyclophosphamide, prednisoloneによるVCP療法を施行したところ,腫瘤の著明な縮小を認めたが,5カ月後より再増悪,呼吸不全と高Ca血症を伴い入院後7カ月で死亡した。心臓原発の悪性リンパ腫は非常に稀とされており,今後,その発症のメカニズムの解明,および診断法・治療法の確立が必要と考えられた。
  • 本村 茂樹, 酒井 リカ, 富田 直人, 藤巻 克通, 服部 美智子, 藤沢 信, 毛利 博, 高橋 直樹, 丸田 壱郎, 児玉 文雄, 大 ...
    1998 年 39 巻 4 号 p. 302-307
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は48歳,女性。慢性骨髄性白血病にて平成8年11月に受診した。白血球数は404,000/μlあり,外来にてhydroxyurea (HU)による治療を開始した。平成9年1月29日よりα-interferon (IFNα) 600万単位,連日投与へ変更したが,6日間で白血球が19,600/μlから56,800/μlへ増加したため,HU 2,000 mgを併用した。白血球数が10,000/μl以下となったため,2月27日よりHUを500 mgへ減量し,4月4日よりIFNαを600万単位,週3回とした。5月から月経が再び始まり,貧血が進行した。また,同時に汎血球減少も進行した。骨髄生検では著明な低形成であり,Ph1染色体も残存していた。現在7カ月が経過したが,回復を認めていない。同様の報告は詳細の記載されたものが本例をふくめ9例あり,1例はIFN単独投与,8例が抗癌剤による前治療が行われていた。IFNによる免疫学的機序や抗癌剤との併用が原因と考えられるが,著明な骨髄低形成は致死的であり,今後,IFNを投与する際にはこのような副作用があることに注意する必要がある。
  • 笠原 薫, 高橋 徹, 浜本 文恵, 林 敏昭, 安達 正晃, 奥田 博介, 佐藤 修司, 鈴木 拓, 日野田 裕治, 今井 浩三
    1998 年 39 巻 4 号 p. 308-313
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は19歳男性,macrothrombocytopeniaの精査の為当科に紹介となった。血小板数は73,000/μlで巨大血小板が末梢血塗抹標本で認められた。4年前より重症のアトピー性皮膚炎に罹患している以外は出血傾向もなく健康であった。9歳時Fallot四徴症のためシャント手術を受けた際,初めて血小板減少を指摘されたというが,とくに合併症も起きなかった。血小板凝集能はADP, epinephrine, collagen, ristocetinに対して正常,Salzman変法による血小板粘着能は正常に比べ亢進していた。ほかのmacrothrombocytopeniaを伴う疾患に認められる白血球内封入体は,本症例では認められなかった。患者の母親にも出血傾向を伴わないmacrothrombocytopeniaを認め,本症例が遺伝性であると考えられた。
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