抄録
症例は30歳,男性。1993年11月にIgG-κ型多発性骨髄腫と診断され,化学療法を受けた。1994年5月,両側感音性難聴,眩暈,全身倦怠感が出現し当院に紹介入院となった。末梢血で白血球数は25,000/μlと増加し,血液像では高度の異型性を示す形質細胞を77.5%認めた。同時に鼻出血,網膜出血,血漿粘稠度の上昇を認め,形質細胞性白血病および過粘稠度症候群と診断した。化学療法に加え血漿蛋白除去を行い,血漿粘稠度は正常化したが,聴力障害は改善しなかった。また,経過中に蝶形骨洞内の形質細胞腫による左第VI脳神経障害を併発した。本例はアドリアマイシンを含む多剤併用療法に抵抗性を示し,同年8月に重症感染症および原病の進行により死亡した。われわれは過粘稠度症候群による第VIII脳神経障害および頭蓋内形質細胞腫によると考えられる第VI脳神経障害を合併した形質細胞性白血病を経験したので報告する。