抄録
再生不良性貧血の免疫抑制療法として,抗ヒト胸腺細胞グロブリン(ATG)の有用性が示されてきている。今回われわれは,再生不良性貧血に対してシクロスポリンを併用したATG療法を試みた9例を対象とし,その有効性,Tリンパ球の変動,合併症について検討した。対象は男性4例,女性5例で年齢中央値は55歳。重症が8例で,中等症が1例であった。初回治療例が3例,治療抵抗例が6例であった。投与直後から急速に著明なTリンパ球の減少,消失がみられ,CD4, CD8陽性細胞ともに減少した。1例は肺出血で死亡したが,6か月以上の観察期間で著効は3例,やや有効は2例,無効は3例であった。ATGによる薬物有害反応としては,一過性の発熱,掻痒感,皮疹等がみられたが,重篤な症状は認められなかった。初回治療例のみならず,治療抵抗性の再生不良性貧血に対しても,シクロスポリンを併用したATG療法は有用であり,安全に施行しうることが示唆された。