抄録
症例は36歳,男性。1992年10月に縦隔原発の混合型胚細胞腫瘍(stage II)のため,腫瘍摘出術およびVP16を含む多剤併用化学療法を施行した(VP16総投与量;1,500 mg/m2)。以後,再発なく経過したが,1995年9月に白血球数増加(15,700/μl)とペルオキシダーゼ陰性の芽球(37%)の出現,血小板数減少を認めた。骨髄に高度のreticulin fibrosisと幼若な異形細胞を多数認め,これらの細胞はFactor VIII+/CD42+/CD61+であり,急性巨核芽球性白血病(M7)と診断した。11q23染色体異常やMLL遺伝子の再構成を認めないことから,縦隔原発胚細胞腫—血液悪性腫瘍症候群と診断した。また,神経特異エノラーゼ(NSE: 95.9 ng/ml)の高値を認めた。化学療法でいったんは完全寛解に至ったもののまもなく再発し,白血病の全経過3カ月で死亡した。本症例は本症候群として本邦3例目の報告であり,また,血中NSEが高値を示した第一例目である。