臨床血液
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臨床研究
副腎皮質ステロイド不応性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対するdiaminodiphenyl sulfone (DDS)の効果
—長期的効果と安全性,作用機序についての考察—
平澤 晃佐藤 忠嗣川淵 靖司西川 哲男千葉 省三若林 芳久
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1999 年 40 巻 10 号 p. 1068-1074

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抄録

副腎皮質ステロイド剤抵抗性の慢性型特発性血小板減少性紫斑病(ITP) 8症例に,従来本邦では抗らい薬として用いられてきたDiaminodiphenyl sulfone (DDS) 75∼150 mg/日を経口的に投与し,その効果と安全性について検討した。5症例(62.5%)で,投与開始から35∼64日で血小板数は10×104lを越えた。うち3例では長期的(3, 4, 6年間)に血小板数10×104l以上を維持している。その作用は用量依存的で,また可逆的な傾向があった。副作用として,3症例で皮膚の掻痒感,発赤がみられたが,一時的な休薬や抗ヒスタミン剤などで改善し,重篤なものはみられなかった。作用機序として,血小板の増加時に網状赤血球比率の増加も観察され,軽度の溶血を介した脾での血小板貪食抑制が考えられたが,まだ不明な点が多い。結論としてDDSは,出血傾向が続く難治性ITP症例に有用な治療法と考えられた。

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© 1999 一般社団法人 日本血液学会
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