臨床血液
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症例
出血性胃潰瘍による貧血を機に初めて診断された高齢者のDyserythropoietic Anemia
岡村 篤夫松井 利充山口 彰則清水 伸一門脇 誠三千原 和夫藤本 剛生神吉 香織藤尾 一義
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1999 年 40 巻 10 号 p. 1074-1080

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抄録

症例は,出血性胃潰瘍にて入院となった,71歳男性。貧血に対し輸血が必要と考えられたが,原因不明の不規則抗体が検出された。そこで第2病日骨髄穿刺を施行したところ,顆粒球系・巨核球系細胞に異常を認めなかったが,多核を有する異常巨赤芽球の過形成を認めた。第14病日再度骨髄穿刺を施行したところ,多核の巨赤芽球は消失し,2核を有するあるいは核橋によるつながりを持った2細胞1組の赤芽球を多く認め,同時に不規則抗体は消失した。赤芽球の電顕像では,細胞膜および核膜の異常を同時に認めたことから,自験例はCongenital Dyserythropoietic AnemiaのI型およびII型両方の形態学的特徴を有した,高齢者のDyserythropoietic Anemiaであると考えられた。これら赤芽球の形態変化および不規則抗体の出現には,出血によるエリスロポエチンの反応性分泌が関与したと考えられた。

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© 1999 一般社団法人 日本血液学会
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