臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
(11;17)(q23;q21)転座を認めた急性前骨髄球性白血病
星 進悦
著者情報
ジャーナル 認証あり

1999 年 40 巻 2 号 p. 119-123

詳細
抄録

症例は精神分裂病の41歳男性である。末梢血中にAuer小体陽性幼若細胞が出現し,骨髄ではアズール顆粒が微細または少数で,核が分葉傾向に乏しい異型細胞を多数認めた。ペルオキシダーゼ染色強陽性で,faggot cell様細胞が散見されたのでFAB分類上M3vと診断した。ところが,染色体分析ではt(11;17)(q23;q21)が認められた。all-trans retinoic acid (ATRA)は奏効せず,DNRの代わりにmitoxantroneを用いたMCMP療法で完全寛解となった。しかし,9カ月後に再発し,表面マーカー解析でCD56が陽性で,Myeloid/Natural Killer Cell Acute Leukemiaに属していた。MEC療法も奏効せず,ATRAを2カ月以上投与し,骨髄球・後骨髄球の増多を認めるも次第に白血球数,特に前骨髄球が増加した。CAG療法を試みたが効果なく頭蓋内出血で他界された。本邦で最初の(11;17)転座を示しかつCD56陽性である急性前骨髄球性白血病の症例を報告した。

著者関連情報
© 1999 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top