臨床血液
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症例
3系統の血球形態異常およびIgG (λ)型M蛋白を呈したatypical chronic myeloid leukemia
伊東 克郎柏村 琢也小林 功幸矢ケ崎 史治坂田 亨川井 信孝松田 晃楠本 修也福田 正高猪野 裕英室橋 郁生陣内 逸郎吉田 悟別所 正美齋藤 昌信平嶋 邦猛
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ジャーナル 認証あり

1999 年 40 巻 2 号 p. 129-134

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抄録

症例は78歳の男性。平成6年2月白血球増加を指摘され受診。肝脾腫あり。WBC 95,090/μl, Hb 6.4 g/dl, Plt 15.0万/μl, NAPスコア27, VB12 1,600 pg/ml以上,IgG 4,371 mg/dl(λ型M蛋白)。骨髄は過形成で顆粒球系が著明に増加。形質細胞,単球の増加は認めず。Ph1染色体,BCR遺伝子の再構成共にみられず。Ph1陰性慢性骨髄性白血病(CML)と考えられhydroxyurea, ついでVP-16投与で経過。次第に白血球数のコントロール困難となり,芽球(POX陽性,ブチレート陰性)も増加,平成7年6月肺炎と敗血症にて死亡。本例は経過を通じて単球増加は認めずCMLのFAB分類におけるatypical CML (aCML)に該当すると思われた。本例は血球3系統の形態異常を認め,aCMLとM蛋白血症の合併はともに造血幹細胞の異常から生じた可能性も疑われ,血球分化の点で興味深い症例と思われた。

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© 1999 一般社団法人 日本血液学会
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