2004 年 45 巻 4 号 p. 304-307
症例は72歳,女性。1∼2歳時に左結核性膝関節炎の既往があり同関節は変形,拘縮していた。2002年9月上旬より左膝前面に腫脹,疼痛が出現し,MRIにて左膝前面に7×8×6cm大の軟部腫瘍が認められ,腫瘍からの生検の結果diffuse large B-cell lymphomaと診断され,同年11月当科へ紹介入院となった。腫瘍細胞はCD3-CD5-CD10-CD20+CD21-BCL2+, 表面免疫グロブリンはM-κであった。in situ hybridization法で腫瘍細胞にEBV encoded RNAが陰性であったことから,本症例におけるDLBCLの発生機序はPyothorax-associated lymphomaとは異なると考えられた。CHOP療法,放射線治療を施行され部分寛解となり,以降無治療にて診断後15ヵ月現在腫瘍の増大傾向はみられていない。