臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例報告
針状結晶封入体を認めたIgG-κ型多発性骨髄腫
小林 千春田邊 寿一青木 摩耶子鈴木 里絵子浅井 弘明栗田 雅史村田 興毛利 博
著者情報
ジャーナル 認証あり

2007 年 48 巻 8 号 p. 652-658

詳細
抄録
症例は82歳,男性。貧血の精査目的にて入院となった。血清総蛋白8.6 g/dl,γグロブリン分画に43.1%のM蛋白成分を認めた。免疫グロブリン定量ではIgG 4298 mg/dlと増加し,免疫電気泳動にてIgG-κ型M蛋白を認め,Bence Jones蛋白陽性であった。骨髄では形質細胞が36.9%あり,すべての形質細胞にアウエル小体類似針状結晶様封入体を認めた。この結晶様封入体は,酸フォスファターゼ染色強陽性,CD138陽性,IgG-κ陽性を示した。電顕では,棒状,菱形,直角の大小さまざまな形態を呈し,比較的均質で高稠密な周期性の縦縞の線維状構造を示し,辺縁の外側にはリボソームが付着し,粗面小胞体の中に認められた。免疫グロブリンと関連する構造物が,なんらかの輸送障害や分泌異常を生じ,過剰に蓄積濃縮された結果,結晶封入体を形成したものと思われた。
著者関連情報
© 2007 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top