抄録
症例は35歳男性。口腔内出血で来院し,急性前骨髄球性白血病と診断された。all-trans-retinoic acid (ATRA)を併用した寛解導入療法を行い,PCR法にてPML/RARA fusion geneの分子遺伝学的寛解状態が確認されたが,長期の血球回復不全,大量腹水,腎機能障害が出現した。CTにて肝表の凹凸不整を認め,肝生検により自己免疫性肝炎及び門脈圧亢進症と診断した。肝予備能が良好であり地固め療法2コース行ったが門脈圧亢進症による汎血球減少のため地固め療法の継続が不可能と判断し,ATRAによる維持療法(45 mg/m2, day1~14) 8コースへ移行した。その後,門脈圧亢進症の増悪は認めず,5年間寛解を維持している。本例は門脈圧亢進症を有する症例においてATRAが長期にわたり使用可能であることを示唆する。