抄録
小児造血幹細胞移植の急性GVHD予防において,シクロスポリン(CsA)は広く使用されているが,その至適投与法は確立していない。当科でGVHD予防にCsAを用いた造血幹細胞移植を施行した26症例のうち,24時間持続静注法を用いた8例と3時間点滴静注1日2回法を用いた18例について,血中濃度の変動,有害事象の発生頻度,Grade II~IVの急性GVHDおよび慢性GVHDの発症頻度を比較した。3時間投与群では大半の症例でAUCと相関の高いC3値を目標レベルに維持することができ,重度の有害事象は発生しなかった。Grade II~IVの急性GVHDや慢性GVHDの発症率は両群で有意差を認めなかった。C3値モニタリングを用いたCsA3時間点滴静注法では安全かつ簡便な血中濃度管理が可能であり,小児造血幹細胞移植における急性GVHD予防法として有用であると考えられた。