臨床血液
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症例報告
発症後に潰瘍性大腸炎を併発した再生不良性貧血
島田 恒幸前田 智也石川 真穂岡村 大輔伊藤 善啓脇本 直樹中村 裕一川井 信孝猪野 裕英陣内 逸郎森 茂久松田 晃別所 正美
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2012 年 53 巻 2 号 p. 224-228

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抄録

37歳女性。2008年4月汎血球減少症を呈し再生不良性貧血stage 2と診断。染色体は正常核型,PNHタイプ血球およびHLA-DR15は陽性。輸血非依存状態(stage 3)へ移行したため,診断翌月よりシクロスポリン投与を開始,4ヶ月後に輸血非依存となった。その3ヶ月後重症型潰瘍性大腸炎を併発し再び輸血依存状態となった。メサラジン,ステロイドパルス療法にて潰瘍性大腸炎は軽快するも輸血依存性は継続。診断11ヶ月後より抗ヒト胸腺ウマ免疫グロブリン製剤(ATG)+シクロスポリン療法を開始。6ヶ月の治療効果判定はNon response (NR)で7モノソミー(-7)を有する骨髄異形成症候群(RCMD)へ移行。診断から23ヶ月後にHLA一致同胞から骨髄移植を施行。移植35日で生着その後Complete response (CR)となった。移植後潰瘍性大腸炎に対しメサラジン投与は不要となり再燃は認めていない。再生不良性貧血と潰瘍性大腸炎発症の関連は不明であるが,本例はHLA-DR15陽性,PNH血球陽性であり,免疫病態が両疾患に関連している可能性がある。骨髄移植により両疾患ともに軽快したこともこのことを示唆すると考える。

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© 2012 一般社団法人 日本血液学会
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