2012 年 53 巻 2 号 p. 229-234
症例は76歳,女性。2009年9月より不正性器出血,帯下が出現し,近医で膣に径5 cm大の腫瘤を指摘された。当院に紹介され,生検でDiffuse large B-cell lymphoma (DLBCL)と診断された。CT, MRI及びFDG-PETでは膀胱浸潤を伴う膣腫瘤以外にリンパ腫病変を認めず,膣原発リンパ腫と診断した。化学療法及び放射線療法にて完全奏効となったが,2か月後に中枢神経系に再発した。膣原発リンパ腫57例の検討では,組織型はDLBCLが多く,臨床病期は限局期が大半を占め,化学療法と放射線療法を組み合わせて治療している例が多く,治療奏効率は高かった。中枢神経系に再発した症例は過去2例報告されているが,本症例では膣のリンパ腫病変が膀胱に浸潤していたことが中枢神経系再発の一因と考えられた。