2012 年 53 巻 2 号 p. 235-239
症例は,家族性血球貪食リンパ組織球症に対して非血縁臍帯血移植を行った1歳女児。移植後24日目に移植関連微小血管障害(TMA)と診断した。Tacrolimusを中止したがTMAは進行し,移植後25日目からリコンビナントトロンボモジュリン(rTM)を開始した。腎不全を合併していたため,添付文書に従い130IU/kgに減量して投与したが効果は得られず,27日目からrTMを通常量である380IU/kgで投与したところ,翌日にTMAの進行がとまった。移植後109日目までrTMの長期投与を行いつつ全身状態の改善を図り,移植後1年6ヶ月現在無病生存中である。rTMの副作用として重篤な消化管出血と膀胱出血があり,出血症状を見ながら投与を中断・スキップするなど投与法に工夫を要した。本症例においては,rTMを腎不全時でも通常量を用いることでTMAに対する効果を得た。今後,TMAに対するrTMの有用性については症例の積み重ねが必要である。