臨床血液
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8 (EL-38)
再生不良性貧血
臼杵 憲祐
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2016 年 57 巻 10 号 p. 1890-1899

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抄録

再生不良性貧血の治療は,造血回復を目指す再生不良性貧血に特異的な治療と支持療法の2つに分けられる。支持療法には輸血,G-CSF, 鉄キレート療法などがあり,それぞれ対症的に行なわれる。造血回復を目指す再生不良性貧血に特異的な治療には,免疫抑制療法,同種造血幹細胞移植,蛋白同化ホルモン療法などがある。移植では造血能の完全な回復(治癒)が見込めるが,移植関連の合併症による死亡の危険がある。免疫抑制療法では抗胸腺細胞グロブリンとcyclosporineの併用療法が最も奏効率が高い。この治療は薬剤性や肝炎後再不貧などの二次性再不貧でも有効である。再生不良性貧血の治療では,個々の症例の重症度と年齢に応じてこれらの中から治療法を選択する。トロンボポエチン受容体作動薬のエルトロンボパグが有効であり,一部の症例では3系統の造血の回復がみられることが明らかになり,日本でも適応拡大が期待されている。

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© 2016 一般社団法人 日本血液学会
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