臨床血液
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症例報告
同種造血幹細胞移植後の二次性生着不全に対してドナーリンパ球輸注が著効した急性骨髄性白血病
芹澤 憲太郎芦田 隆司谷口 貴英谷口 康博森田 泰慶田中 宏和嶋田 高広辰巳 陽一松村 到
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2017 年 58 巻 12 号 p. 2386-2391

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抄録

急性骨髄性白血病に対する同種骨髄移植後に一旦造血機能の回復を認めたものの汎血球減少を来し,二次性生着不全と判断してドナーリンパ球輸注(donor lymphocyte infusion, DLI)を施行したところ著効を示した症例を経験したので報告する。症例は64歳女性。急性骨髄性白血病の部分寛解に対して非血縁者間同種骨髄移植を施行した。速やかに生着し,complete remission with incomplete blood count recovery(CRi)に到達したが,day 110から汎血球減少症が出現した。血液検査および骨髄穿刺では,再発や血球貪食症候群は認めないものの,キメリズム解析でドナー比率が経時的に低下したため,二次性生着不全と診断した。Granulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)の投与と輸血にて経過観察したが,造血の改善は認めなかった。患者が再移植を希望しなかったため,DLIを施行した(CD3陽性細胞:1.0×107/kg,単回投与)ところ,有害事象を認めることなく,血球は速やかに改善した。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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