2018 年 59 巻 2 号 p. 161-166
40歳,女性。1年前より全身性の皮疹,肝脾腫,甲状腺機能低下およびIgG-λ型M蛋白を認めるも,明らかな末梢神経障害の所見を指摘できず,POEMS症候群の確定診断に至らなかった。また,後頸部中心の筋力低下を伴っていた。経過観察中に呼吸筋障害によるII型呼吸不全が進行,NPPV導入となった。POEMS症候群による末梢神経障害が原因と判断し,全身化学療法を開始するも,奏効せず,人工呼吸器管理となった。その後,M蛋白を伴う,孤発性成人発症型ネマリンミオパチー(SLONM with MGUS)を疑い,大腿部の筋生検にてネマリン小体を認め,SLONM with MGUSの確定診断に至った。本症例は呼吸不全の進行により,大量メルファラン併用自家末梢血幹細胞移植療法は施行できなかった。SLONM with MGUSは極めてまれな疾患であるが,致死的なM蛋白関連疾患として認識すべきである。