臨床血液
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症例報告
Dasatinib投与中に肺高血圧症を伴う混合性結合組織病を発症した慢性骨髄性白血病
綿貫 慎太郎菊池 拓外山 高朗安部 涼平中山 瞳雁金 大樹清水 隆之菊池 潤松本 紘太郎安岡 秀剛片岡 雅晴岡本 真一郎森 毅彦
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2018 年 59 巻 2 号 p. 174-177

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抄録

症例は37歳,女性。慢性期慢性骨髄性白血病に対してnilotinibを開始したが,アレルギー症状のため1ヶ月でdasatinib(100 mg/日)に変更した。良好な治療効果が得られていたが,dasatinib開始7ヶ月後に呼吸苦の訴えがあり,来院した。胸部X線と心臓超音波検査にて肺うっ血および肺高血圧症を示す所見を認めた。Raynaud現象,手指の腫脹と皮膚硬化,抗U1-RNP抗体陽性に加え,汎血球減少を認め,混合性結合組織病と診断された。Dasatinibを中止し,prednisolone(1 mg/kg)を開始した。治療は奏効し,cyclophosphamideを併用しながらPSLは漸減した。これまでにdasatinib投与下で混合性結合組織病を発症した報告はない。若年女性でもあり潜在的な素因から顕在化した,あるいは偶発症である可能性も十分にあるが,dasatinib治療中の自己免疫疾患発症の可能性について検討が必要と考えられた。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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